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2025.03.25メディアNew

佼成出版社発刊の『やくしん』(2025年4月号)の「特集 私の生き方、働き方」
やくしん

佼成出版社発刊の『やくしん』(20254月号)の「特集 私の生き方、働き方」に弊社代表の岩井俊憲の「仕事への向き合い方Q&A」が掲載されました。


仕事への向き合い方Q&A

 

 仕事にやりがいを感じない、責任が重い、職場の雰囲気が悪いなど、仕事の悩みは誰にでもあるものです。そんな悩めるあなたに、ヒューマン・ギルド代表で、また、中小企業診断士として多くの企業のコンサルティングにあたる岩井俊憲氏がお答えします。

 

Q

 ―大学卒業後、志望の会社に入社しましたが、希望する仕事ができません。転職を考えています。

 

A

 社会人としてスタートを切った若い人たちは、一生懸命、仕事に取り組んでいると思います。そのなかで会社も仕事内容も、自分の希望通りになっている人は少ないのではないでしょうか。たとえば、「総合商社に入り世界中を飛び回りたいと思い、商社に入社したけれども配属先は事務部門だった」「広告業界の第一線で働きたいと願い、広告代理店に入ったけれども人事部門で仕事をしている」などということはよくあることです。

 かくいう私も新入社員の頃、希望部署欄に「企画、人事、経理」と書きましたが、配属されたのは「営業部」でした。

最も入りたくなかった部署です。気持ちが腐って、ふてくされていました。部長とは気が合わず、内心では〈いつ辞めようか〉と、そればかり考えていました。

 ですが、半年後に思いがけず部長が異動したのです。新しい部長は、朝礼のスピーチで「第二志望の人生」という話をしてくれました。「今朝のラジオで、財界人のほとんどは第二志望の人生だと話していた。私も法学部を出たけれど弁護士になれなくて、アメリカの大学院でマーケティングを勉強し、ここに転職してきた」と。

 その上司は、まだ若くて生意気だった私の意見を聞き入れ、誠実に対応してくれました。それから、仕事に前向きになったのです。このように上司が代わるだけでも、状況が一変する可能性があります。ですから、簡単に転職の決断をしないことです。どこかで軌道修正される機会があるかもしれません。最初の躓きで転職するのはもったいない気がします。

 私は営業職を六年やったことは、結果としてよかったと思っています。代理店を一軒一軒回り、経営者の方々と対話を重ねる中で、「お客さまが何を求めているのか」というセンスが磨かれました。自分が置かれた場所で一生懸命仕事に取り組むことで、新たな発見もあるものです。

 

Q

 ―中間管理職として、上司と部下の板挟みに遭っています。

 

A

 中間管理職は、上層部の指示を部下に伝える一方、部下の意見を吸い上げて上司に伝える役割を担います。さまざまな人とコミュニケーションを図るなかで、期せずして板挟みに遭うこともあるでしょう。

 上層部の指示や方針がうまく自分の部下に伝わらない時は、たとえば上司である部長、そして課長と部下の三人で話し合いをするといいと思います。そこで部長に直接説明してもらい、指示が明確に課員に伝わるようにするのが健全なやり方だと思います。

 中間管理職は上長の指示に従わないといけませんが、納得できない事案もあるかと思います。そんなときには一人で抱え込まず、関連部署の課長に相談するのもいいでしょう。

 たとえば、同じ部の他の課長たちに、「この案件に対して、どう思っている?」と尋ねてみるのです。疑問を感じているのは自分だけなのか、みんなもそう思っているのか、そこがポイントです。もしみんなが自分と同じ意見であるなら課長たちと連携し、部長に対して「この案件によりよく対処するために、できることは何かをみんなで話し合いたい」と申し出て、相互理解を深めるのです。

 一方、部下に意見を言われることもあるでしょう。そんな時は「何かあるのだろう」と考え、相手の話に謙虚に耳を傾けることです。また、年に一回でも部下たちとの懇談の場を設け、きたんのない意見を聞かせてもらい、しっかりメモを取るのです。そして改善の余地があるならば、「こうしようか」などと提案をしていくのです。話を聞いてあげるだけでも、部下の憤懣は収まるはずです。

 誠意を持って相手の話を聞き、「じゃあ、今日はこれを宿題にするよ」と部下の気持ちを受けとめれば、そこに信頼関係が生まれます。寛容な上司になることで、職場の雰囲気も良くなるものです。

 

Q

 ―定年を間近に控え、老後の生活が不安です。セカンドキャリアは、どうしたらいいでしょうか。

 

A

 いま健康寿命が延びて、「人生百年時代」を迎えています。現役引退後も新しい知識を学び、副業や起業をするなどの人生設計が必要です。六十五歳になって、いきなり再就職は厳しいので、六十五歳で退職するとしたら、五十五歳ぐらいから再就職の準備を始めましょう。

 定年を間近に控えた人たちの研修会では、「ホップ、ステップ、ジャンプ」というプロセスを踏んで、再就職の準備をするべきだと、私はお伝えしています。

「ホップ」はトランスキャリアといって、趣味やボランティアをとおして社外人脈をつくり、別の世界の準備をします。「ステップ」はパラレルキャリアで、新しい人脈の輪をどんどん大きくしていくのです。いま副業を容認する会社が増えていて、会社勤めをしながら作家や研修講師をしている人もいます。いわゆる二足の草鞋状態です。「ジャンプ」はチェンジキャリアで、副業でやりたい仕事を実現しながら、やがてそちらに転身して、身を立てるのです。

 このセカンドキャリアについて、早稲田大学大学院経営管理研究科の山田英夫教授は、「副業」には四つあるといいます。

「伏業」=会社に知らせずに行なう

「副業」=本業の収入を補う

「幅業」=NPOなど社会的事業に幅を広げて従事する

「複業」=複数の異なる仕事をもつ

 たとえば、会社のイベント担当者であれば、地方自治体と連携して町おこしの企画に参加するのもいいでしょう。また、IT関係者は、中小企業に引っ張りだこです。自分は本業以外でどんなキャリアをつくっていくのか試行錯誤しながら、自分を再点検するのです。

 いまどきは「ノマド」と言って、職場に出勤せず、自分の好きな場所で仕事をしながら農業に勤しむ人もいます。セカンドキャリアは、ビジネス人生においてできなかったことを実現するチャンスです。自分の憧れに向かい、シフトチェンジして新しい可能性を広げていきましょう。

 

Q

 ―パート仲間に派閥があり、なかなか馴染めません。人の噂話や陰口には、関わりあいたくないです。

 

A

 会社には、噂好きな人や陰口を言う人、他人のプライバシーを知りたがる人など、さまざまなタイプの人がいます。そういう人に「不愉快ですから、やめてください」と言っても、おそらく直らないでしょう。そんな人とは距離を置いて、できるだけ関わらないことです。下手に同調すると、「彼女、あなたのことを悪く言っていたわよ」などと言われ、巻き込まれるだけです。不用意な発言は控え、相槌を打つ程度の付き合いにしておきます。

 なかには、マウントをとってくる人もいます。そんな相手とバトルしたところで、何も生み出しません。主導権争いからは、さっと身を引きましょう。観覧車の一番高い席から〈ああ、またやっているな〉と見下ろすようなイメージで、自分が一段上に立って、俯瞰して物事を見ていればいいのです。

 世の中の人間関係には、相性もあります。相性は、二対七対一、もしくは二対六対二の割合で、「良い」「普通」「悪い」という指標があります。要するに、あなた自身は必ず誰かに嫌われ、また誰かに好かれているのです。歴史上、全員に好かれた人は存在しませんし、同様にみんなに嫌われていた人もいないのです。

 人間は好き嫌いで物事を判断しがちですが、仕事においては好き嫌いを基準にしてはいけません。仕事では目的や目標に向かって、お互いに協力することが大事です。

 たとえば野球・ラクビー・アメフト・バレーボール・体操などの全日本代表選手は、日本全国から選ばれたトップアスリートです。厳しい選考基準を勝ち抜いてきた最強の選手軍団です。元々はライバルですが、代表チームでは好き嫌いといった感情論で試合をしたりしません。みんなが「優勝」という目標に向かって、それぞれの個性を活かし、ベストを尽くしているのです。選手たちは好き嫌いを超え、みんなで力を合わせる〝智恵〞のある存在です。

 私たちもマインドチェンジをして、自分に何ができるかを考え、智恵のある存在になって地域や社会、職場でベストを尽くしていきましょう。


◆岩井のブログもご参照ください。

 アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ (goo.ne.jp)   

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